読み手の紹介

長野美郷 長野美郷 現在「めざましテレビ」(フジテレビ)のお天気キャスターとして人気を集めている。

きっと、この先はもっと笑顔の溢れる未来を見ることができるに違いない—初めてこの本を読んだ時に、そう感じました。未曾有の大震災から、2年と半年。先日、宮城県へ取材に行きました。海岸線から数百m離れた道路を車で走りながら、海岸まで続く更地を指差し、担当の方がおっしゃった言葉。「ここは、全部流されたんだよ」胸が詰まりました。まるで昨日の事のように、テレビの映像が蘇ってくる…しかし、その胸の詰まりは、取材したご家族と触れ合っているうち、吹っ飛ぶこととなります。お子さんの弾ける笑顔、走り回りながら響き渡る声、お父さんの力強い眼差し…はっとしました。この場所にも、確かに1日1日を刻んで2年と半年という月日が流れている。あのときを思い起こすと、辛く悲しい場面ばかりだけれど、あれから日々、何とか前を、未来を見ようと踏み出している方々の中には、きっと未来へ向かって、あたたかくて強い、希望をもった風が吹いている—この絵本の中には、そんな「風」が詰まっていると思います。辛いことがあっても、時の流れの力を借りて、少しずつでも、力強く、また明日へと向かっていく、人の、子供たちの、たおやかさ、あたたかさが愛おしくなる作品です。みんなのあたたかい笑顔が、早く、もっと増えますようにと、願いをこめながら、声を吹き込ませていただきました。

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