読み手の紹介

杉崎美香 杉崎美香 信越放送でアナウンサーを務めた後、フリーアナウンサーに。「めざにゅ〜」(フジテレビ)のキャスターを務める。その後も様々な番組で活躍。現在「世界ナゼそこに?日本人」でMCを務めている。

「あのとき、みんなの手は、何をつかんでた?」
わたしは、羽田空港のロビーで、パニックになる人々の中、座り込んでかばんを握りしめていました。あの日のこと、余震が収まらなかった日々のこと、現実と正面から向き合いニュースを伝え続けたプレッシャーの日々のこと、決して忘れません。被災地の皆さんのことを考えれば、自分のきつさなんてたいしたことはないと喝をいれながらも、震災から数ヶ月経ったある日、大好きなアーティストの生の歌声を聴いた瞬間、涙が溢れ、ボロボロと止まらなかった。自分で思っている以上に、怖くて、不安で、自分の無力さに絶望していたのだと、そのときはっきりと分かりました。この絵本を初めて見たとき、「あのとき」のみんなの状況が映像を見るようにリアルに感じられ、何度も胸がぎゅっと痛くなった。それが現実に起こったこと。わたしたちの日常に起こった現実です。でも、「あれから」と「これから」がたくさん書かれている。描かれている。もちろん解決できていない問題も多々残っているけれど、大人ほど、傷つくことになれていない子どもたちが、一生懸命未来に向かって進もうとしている。とても力強い笑顔がこの絵本にはつまっています。起こってしまったことを忘れないこと、起こってしまったからこそ気づけたこと。人が、強く、優しく、たくましく生きていくために、、、この本が誕生してくれたことに心から感謝します。

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